韓国で働くための就労ビザとは?取得条件や準備する書類・費用について解説
更新日 : 2025/09/08
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韓国の就労ビザとは?種類と特徴
日本国籍者が韓国で働くには、就労ビザの取得が必須です。職種や滞在期間に応じて取得できる就労ビザの種類は異なり、中には専門的な知識や技術を必要とするものもあります。
韓国の就労ビザの種類や特徴については、以下をご参照ください。
目的 | ビザの名称 | ビザの特徴 | 90日以上 (滞在期間) |
90日以内 (滞在期間) |
就労 | 取材ビザ(D-5) | 90日を超える長期の取材・報道活動を目的とし、報道機関の記者やカメラマンなどが申請対象となります。 | 〇 | |
駐在ビザ(D-7) | 韓国国外の企業や団体で1年以上勤務している方が、韓国の支店へ派遣される際に必要となるビザです。 | 〇 | ||
企業投資ビザ(D-8) | 韓国国外の個人または法人が韓国に事業体を設立し、事業を展開するために申請するビザです。 | 〇 | ||
貿易経営ビザ(D-9) | 会社経営や貿易業などの営利事業活動を希望する外国人事業者を対象とし、個人事業者として投資が認められるビザです。 | 〇 | ||
求職ビザ(D-10) | 韓国でインターンシップや求職活動を行う方を対象としたビザです。 | 〇 | ||
観光就業ビザ(H-1) | 主に観光を目的としながら、滞在費用を補うための就業が認められるビザです。 | 〇 | ||
短期就業ビザ(C-4) | 一時的な興行業務、広告またはファッションモデル活動、講義や講演、研究、技術指導などの就労を目的としたビザです。 | 〇 | ||
一時取材ビザ(C-1) | 一時的な取材活動を目的とする外国の報道機関関係者を対象としたビザです。 | 〇 | ||
専門・特殊技能・芸能 | 教授ビザ(E-1) | 専門大学以上の教育機関やこれに準ずる機関で教育・研究指導を行う際に必要なビザです。 | 〇 | |
会話指導ビザ(E-2) | 外国語専門の学院(塾など)や教育機関で、外国語の教師や会話指導を専門とする方が対象となります。 | 〇 | ||
研究ビザ(E-3) | 韓国で自然科学や先進工業技術の研究や指導を行えます。 | 〇 | ||
技術指導ビザ(E-4) | 特定分野における専門知識や技術を持つ外国人が、公的または民間機関から招待された際に取得できるビザです。 | 〇 | ||
専門職業ビザ(E-5) | 建築家、弁護士、医師などの国家公認資格を有し、韓国においても同様の業務を行う外国人を対象としたビザです。 | 〇 | ||
芸術興行ビザ(E-6) | 収益を伴う音楽・美術・文学等の芸術活動、または芸能、演奏、演劇、スポーツ競技、広告、ファッションモデルなどとして興行活動を行う方が申請対象となります。 | 〇 | ||
特定活動ビザ(E-7) | 韓国政府が指定した分野において専門的な知識や技術を有する外国人を対象としたビザです。 | 〇 | ||
季節就労ビザ(E-8) | 最長8か月間(5か月+3か月の延長)、農作物の栽培や収穫、水産物の加工など、農業・漁業分野での就労が認められます。 | 〇 | ||
非専門就業ビザ(E-9) | 製造業、建設業、農業、漁業、サービス業などの特定分野における就労が認められます。 | 〇 | ||
船員就業ビザ(E-10) | 韓国で旅客船、漁船、クルーズ船等の船舶業務に従事する方が対象となります。 | 〇 |
上記の中でも、長期就労を目的とした特定活動ビザ(E-7)と駐在ビザ(D-7)が代表的なものとなっています。
韓国就労ビザの取得条件
就労ビザは種類によって申請要件が異なります。ここでは、就労ビザの中でも代表的な特定活動ビザ(E-7)、駐在ビザ(D-7)、企業投資ビザ(D-8)の取得条件について解説します。
特定活動ビザ(E-7)の取得条件
- 韓国の勤務先の職種と関連する分野の修士以上の学位を有していること
- 韓国の勤務先の職種と関連する分野の学士号を有し、かつ当該分野で1年以上の実務経験があること(経歴は学位または資格取得以降のものに限る)
- 韓国の勤務先の職種と関連する分野で5年以上の勤務経歴があること
駐在ビザ(D-7)の取得条件
- 韓国国外の企業や団体で1年以上の勤務経験があること
- 所属企業の韓国本社、支店、または駐在員事務所などに必須の専門人材として派遣されること
企業投資ビザ(D-8)の取得条件
- 投資対象が韓国法人(設立中の法人も含む)であること
- 投資金額が約1億ウォン以上であること
- 投資した法人の議決権を有する株式総数の100分の10以上を所有、または法人の株式を所有しながら役員派遣・選任契約などを締結していること
上記の条件を満たす方に限り、該当する就労ビザの申請が認められます。また、特定活動ビザを申請する場合には、最終学歴として4年制大学を卒業していることに加え、大学院を修了しているか大学で専攻した分野において1年以上の実務経験を有していることが必須条件となります。なお、高等学校を卒業された方は、ワーキングホリデービザ(H-1)や学歴要件のない芸術興行ビザ(E-6)を申請することが可能です。
韓国就労ビザの必要書類
就労ビザの申請には、パスポートなどの必要書類をご用意ください。
以下では、例として特定活動ビザ(E-7)、駐在ビザ(D-7)、企業投資ビザ(D-8)の申請に必要な書類について紹介します。
特定活動ビザ(E-7)の必須書類
特定活動ビザ(E-7)の申請・取得に必要な書類は以下の通りです。
- 残存有効期間が6か月以上あるパスポート
- パスポートのコピー
- 査証発給申請書
- 6か月以内に撮影した顔写真1枚(カラー、サイズ3.5cm×4.5cm)
- 住民票(全ての記載事項および家族事項を省略せずに発行してください。)
- 経歴を証明する書類(履歴書、経歴証明書など)
- 卒業証明書または学位証明書
駐在ビザ(D-7)の必須書類
駐在ビザ(D-7)の申請・取得に必要な書類は以下の通りです。
- 残存有効期間が6か月以上あるパスポート
- パスポートのコピー
- 査証発給申請書
- 6か月以内に撮影した顔写真1枚(カラー、サイズ3.5cm×4.5cm)
- 住民票(全ての記載事項および家族事項を省略せずに発行してください。)
- 人事命令書
- 経歴証明書
- 日本本社の登記簿謄本
- 韓国支社の設置申告受理書
- 韓国支社の事業者登録証または登記簿謄本
- 韓国支社での在職証明書および納税証明書
- 韓国支店の営業資金導入実績を証明する書類(事業計画書など)
企業投資ビザ(D-8)の必須書類
企業投資ビザ(D-8)の申請・取得に必要な書類は以下の通りです。
- 残存有効期間が6か月以上あるパスポート
- パスポートのコピー
- 査証発給申請書
- 6か月以内に撮影した顔写真1枚(カラー、サイズ3.5cm×4.5cm)
- 住民票(全ての記載事項および家族事項を省略せずに発行してください。)
- 派遣命令書および在職証明書(駐在活動の場合のみ)
- 外国人投資申告書のコピー
- 外国人投資企業登記簿謄本のコピー
- 法人登記簿謄本
- 事業者登録証
- 株主資本等変動計算書
- 韓国の税関または日本の銀行の外貨搬出申告書
- 投資資金の内訳書(送金確認証、税関申告書など)
- 事業計画書
- 事務所賃貸契約書
日本語で記載した証明書(卒業証明書や経歴証明書など)には翻訳が必要となるため、予め外務省でアポスティーユ認証を受けて韓国語翻訳と翻訳公証を添付してください。申請するビザの種類によって必要書類や追加書類が異なるため、駐日本国大韓民国大使館または総領事館の公式ウェブサイトで確認しましょう。
韓国就労ビザの申請方法・手順
就労ビザの申請は、必要書類を準備して駐日本国大韓民国大使館または総領事館で手続きを行う必要があります。就労ビザの申請方法と手順については、以下をご参照ください。
各ビザの申請条件を確認
韓国で就労する際には、職種や滞在期間に応じたビザの申請が必要です。また、希望されるビザの申請条件を満たしていない場合には発給されません。ビザの種類によって申請条件は異なるため、事前に駐日本国大韓民国大使館または最寄りの総領事館の公式ウェブサイトにて必ずご確認ください。
必要書類を準備
ビザの申請に必要なパスポートや査証発給申請書などの書類を準備しましょう。ビザの種類によっては共通書類の他に追加書類が必要となるため、書類に不備がないよう注意が必要です。
必要書類を大使館または領事館に提出
必要書類を全て揃えて、最寄りの大使館または領事館の窓口に提出してください。申請受付は完全予約制となるため、事前に申請先の公式ウェブサイトで「個人申請」の予約を行ったうえで訪問しましょう。
各大使館および領事館の連絡先は、駐日本国大韓民国大使館の公式ウェブサイトで確認できます。
大使館または領事館でビザを受け取る
書類に不備がない場合、就労ビザは1〜2週間程度で発給されます。発給後は、大使館または領事館を訪問し窓口にて承認済みのビザを受け取ってください。
韓国就労ビザの有効期限・申請費用
韓国の就労ビザは職種によって有効期間が異なり、代表的な駐在ビザ(D-7)や特定活動ビザ(E-7)は最長で3年間の韓国滞在が認められます。特に駐在ビザは韓国への派遣条件や支店の営業実績などに基づき在留期間が審査され、初回の付与期間は6か月~1年程度が一般的です。1年以上の韓国滞在を希望される場合は、入国後に延長申請を行ってください。その他にも、企業投資ビザ(D-8)は投資規模などの条件やEビザは専門職の種類に応じて在留期間が付与されます。
また、韓国の就労ビザの発行には申請費用が必要です。90日以下の滞在が可能な短期就業ビザ(C-4)や一時取材ビザ(C-1)は5,200円、91日以上の滞在が認められる駐在ビザや特定活動ビザなどは7,800円となります。手数料は駐日大韓民国大使館または総領事館の申請窓口で現金にて直接支払う必要があり、クレジットカード決済には対応していませんのでご注意ください。加えて、在職証明書や犯罪経歴証明書など追加書類の準備に伴う費用が発生する場合もあり、申請者の状況や滞在目的に応じて異なります。
韓国就労ビザの更新・他ビザへの切り替え方法
韓国就労ビザの更新方法
韓国ビザの更新とは、許可されている滞在期間を延長するための申請手続きを指します。就労ビザを更新する場合は、在留期限の4か月前から満了日までに韓国の出入国管理事務所で手続きを行ってください。例えば、特定活動ビザ(E-7)の更新を行うには、パスポート、統合申請書、外国人登録証、雇用契約書、在職証明書、納税証明書、会社の事業者登録証、滞在地立証書類(不動産契約書)、手数料(6万ウォン)が必要です。これらの必要書類を持参し、出入国管理事務所の窓口で更新手続きを行います。審査期間は通常2週間~1か月程度かかり、承認されると滞在期間の延長が認められます。また、出入国管理事務所への訪問は予約制となっているため、事前に韓国法務部の公式ウェブサイト「ハイコリア(Hi Korea)」から訪問予約を行いましょう。
F-2ビザ(居住)への切り替え
就労ビザから居住ビザ(F-2)へ切り替える場合は、出入国管理事務所の窓口で在留資格変更申請を行ってください。申請要件を満たし承認されれば、点数制居住ビザ(F-2-7)や結婚移民ビザ(F-2-1)などへの切り替えが許可されます。点数制居住ビザは、年齢、学歴、所得、韓国語能力などをポイントに換算し、一定点数を満たした外国人に発給されるビザです。切り替えの条件として、EビザやDビザでの在留歴があり韓国に3年以上滞在していることが求められます。また、結婚移民ビザへの切り替えは、韓国人と結婚していなければ認められません。出入国管理事務所を訪れる際は、就労ビザの更新手続きと同様に事前に訪問予約が必須です。なお、就労ビザの在留期間内に手続きを行う必要があり、超過した申請は認められず不法滞在と見なされる場合があるためご注意ください。
永住権ビザ(F-5)への切り替え
就労ビザから永住権ビザ(F-5)へ切り替えるには、あらかじめ5年以上韓国に滞在することが必須条件です。加えて、健康保険への加入実績や韓国語能力(TOPIK3級以上または韓国社会統合プログラム修了)、韓国の国民総所得(GNI)の2倍以上の年収などが求められます。前年のGNIが必要な年収の目安となり、2024年度の場合は最低8,946万ウォン以上あることが条件です。また、韓国語能力を証明するためにTOPIK合格証または韓国社会統合プログラムの修了証を提出する必要があります。韓国社会統合プログラムは、韓国語能力の向上と韓国社会への理解を支援する制度で、全5段階のコースを修了し総合評価試験に合格することでTOPIK試験への受験が免除されます。なお、収入など生活基盤を安定させるために就労ビザから居住ビザ(F-2)に切り替え、2年~5年間韓国に滞在する方法が一般的です。
配偶者ビザ(F-6)への切り替え
就労ビザから配偶者ビザ(F-6)へ切り替えるには、韓国の出入国管理事務所で在留資格変更申請を行う必要があります。また、予め韓国人と合法的に婚姻関係にあること、扶養できる収入があること、犯罪歴がないことなどの条件を満たさなければ申請は受理されません。一つでも条件が満たされていない場合、切り替え申請は認められないためご注意ください。申請では在留資格変更許可申請書や外国人配偶者背景陳述書などの必要書類を出入国管理事務所の窓口に提出し、書類審査が行われます。審査中に追加書類の提出を求められた場合は、速やかに準備しましょう。書類に不備が無ければ審査が完了し、承認後は外国人登録証にビザ種別「F-6」と在留期限が記載されます。
韓国就労ビザに関する注意点
滞在中に転職した場合
韓国の就労ビザは、申請時に指定した会社でのみ働くことが許可されるビザです。特定の雇用主(会社や学校など)に限定して発給されるため、転職または退職した場合は必ず出入国管理事務所で勤務先変更許可申請やビザ変更申請を行う必要があります。また、無断で転職すると不法就労と見なされるためご注意ください。転職時の主な流れは、まず退職後に雇用研修外国人変動事由発生届出書と辞職届を準備し出入国管理事務所に退職した旨を伝えましょう。転職先が決まってから雇用契約書や事業者登録証、会社の雇用計画書などを準備し、再度事務所で勤務先変更許可申請をしてください。許可が下りると転職先での勤務が認められます。なお、勤務先の変更許可申請は職種によって手続きを行う時期が異なるため、事前に確認しましょう。
特定活動ビザ(E-7)の職種について
韓国の特定活動ビザ(E-7)を申請する際は、韓国法務部が指定した職種でのみ就労が認められます。代表的な職種はエンジニア、通訳、デザイナー、専門学校や大学の講師などの専門職が挙げられます。一方で、飲食店のホールスタッフや建設現場の作業員などの就労は原則として許可されず、目的に合った他のビザを取得しなければなりません。また、ビザ申請時には届け出た職種と申請者の職務内容が合致しているか厳しく審査されるため正確に回答してください。入国後に申請内容と異なる就労を行った場合は、出入国管理事務所より職種の偽装と見なされ、更新拒否やビザを取り消される可能性があります。
居住地の申告義務
韓国の出入国管理法に則り、91日以上滞在する外国人は居住地の情報を出入国管理事務所に申告する義務があります。韓国に入国後90日以内に韓国の身分証明書となる外国人登録証を取得する必要があり、手続きと併せて居住地の申告を行います。また、韓国国内で引っ越した場合も、14日以内に新たな居住地として出入国管理事務所に申告しなければなりません。申告には賃貸契約書や宿舎提供確認書などが必要となるため、事前に用意しましょう。申告をしなかった場合は罰金が科され、ビザ更新時の審査にも影響します。
就労ビザによっては学歴や経歴の証明が必須
就労ビザの中でも専門職ビザ(Eビザ)の申請には、学歴や経歴の証明が必須となります。特に特定活動ビザ(E-7)の申請では、韓国法務部が指定した職種に就くために学歴または職務経験を証明する必要があります。申請には、卒業証明書や在職証明書が必要となるため事前に準備しましょう。なお、これらの書類を提出する際に予め外務省でアポスティーユ認証を受けて韓国語翻訳と翻訳公証を添付してください。書類認証や翻訳の内容に不備があった場合、申請は受理されません。