韓国デジタルノマドビザとは?申請条件や方法について解説
更新日 : 2025/08/22
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韓国のデジタルノマドビザとは?基本概要
韓国のデジタルノマドビザとは、海外企業に雇用される従業員、フリーランスや個人事業主が韓国で長期滞在をしながらリモートワークが認められるビザです。正式名称は「ワ―ケーションビザ(F-1-D)」と呼ばれ、韓国以外から収入を得ている18歳以上のリモートワーカーが申請対象となります。ただし、デジタルノマドビザを利用する場合は、韓国国内で報酬を伴う営業活動は原則として禁止されているため注意が必要です。デジタルノマドビザは入国日から1年間の韓国滞在が認められ、入国後に延長手続きを行うことで最大2年間の滞在が可能です。また、申請条件を満たしている場合に限り、滞在中に他のビザからデジタルノマドビザへの変更も行えます。
2024年1月より、海外のリモートワーカーを誘致し観光業や地元経済の促進を目的にデジタルノマドビザが試験的に導入されました。同ビザは海外企業の従業員や雇用主を対象に韓国での旅行とリモートワークを許可するもので、韓国に滞在しながら自国の仕事を続けたい方に最適なビザとなります。なお、ビザの申請要件は変更となる場合もあるため、予め駐日本国大韓民国大使館または総領事館の公式ウェブサイトより最新情報をご確認ください。
韓国デジタルノマドビザの申請条件
韓国のデジタルノマドビザを取得する際は、以下の申請条件を満たす必要があります。
- 申請時に18歳以上であること
- 海外で登記された会社の従業員であること(海外の企業に雇用されているフリーランスでも可)
- 現在、働いている会社で1年以上の就労経験があること
- 過去1年間の年収が8,496万ウォン(日本円で約930万円)以上あること
- 過去に犯罪歴がないこと
- 保障金額が1億ウォン(日本円で約1,060万円)以上の健康保険に加入していること
デジタルノマドビザの申請には、韓国の国民総所得(GNI)の2倍に相当する年収が求められます。前年のGNIが必要な年収の目安となり、2024年度であれば最低年収が8,496万ウォン以上あることが条件です。また、韓国滞在中の医療費や日本への搬送費用に備え、1億ウォン以上が保障される医療保険への加入が必須となります。
デジタルノマドビザはフリーランスまたは海外企業に雇用される従業員や個人事業主が申請対象となり、申請には給与明細書などを準備し合法的に収入を得ていることを証明する必要があります。また、韓国の労働市場に影響を与えない業務内容であることが求められるため、国内の企業や個人から報酬を受け取らないようご注意ください。
韓国デジタルノマドビザの必要書類
デジタルノマドビザの申請を行う際は、以下の書類をご準備ください。
- 査証発給申請書
- 6か月以内に撮影した顔写真1枚(カラー、サイズ35mm×45mm)
- 残存有効期間が6か月以上あるパスポート
- パスポートのコピー
- 住民票(全ての記載事項および家族事項を省略せずに発行してください)
- 在職証明書
- 残高証明書や給与明細書など年収の金額を証明できる書類
- 犯罪経歴証明書(アポスティーユ認証付き)
- ホテル予約確認書またはアパートの賃貸契約書のコピー
- 医療保険の保険証券(保障額が1億ウォン以上の医療保険が対象)
- 家族関係証明書(家族が同伴する場合に限り必要)
収入金額を証明できる書類については、残高証明書や給与明細書の他に確定申告書、雇用契約書なども該当します。フリーランスの方が申請される場合は、収入金額を証明するためにクライアントとの契約書や請求書のコピー、銀行取引明細などが必要です。また、今後の収入源を証明するためにクライアントとの仕事依頼確認書なども準備しましょう。
韓国デジタルノマドビザの申請方法・手順
デジタルノマドビザを利用して韓国へ渡航する際は、必要書類を準備して駐日本国大韓民国大使館または総領事館で申請手続きを行う必要があります。韓国デジタルノマドビザの申請方法と手順については以下をご参照ください。
①デジタルノマドビザの申請要件を確認
韓国のデジタルノマドビザを申請する際は、予め駐日本国大韓民国大使館または総領事館の公式ウェブサイトでビザの申請要件をご確認ください。申請時に要件を満たしていない場合はビザが発給されません。
②必要書類を準備
デジタルノマドビザの申請では、査証発給申請書やパスポートなどの共通書類の他に残高証明書や医療保険の保険証券の準備が求められます。査証発給申請書は、駐日本国大韓民国大使館の公式ウェブサイトからダウンロードしましょう。申請書は日本語、英語、韓国語が選択でき、申請者情報(氏名、生年月日、国籍)やパスポート情報など全12項目の記入が求められます。また、申請先の大使館や領事館により必要書類が異なるため手続きを行う前に必ずご確認ください。
③必要書類を大使館または領事館に提出
必要書類を全て揃えて大使館または領事館を訪問しましょう。窓口で必要書類を提出し、手数料を支払うことで手続きが完了します。受付は完全予約制となるため、事前に大使館の公式ウェブサイトより「個人申請」の予約を済ませてから訪問してください。なお、申請時期や申請者の国籍によって手数料が変動する場合があります。
④ビザを受け取る
申請後は審査が行われ、書類に不備がない場合は2週間から最長1か月程度でビザが発給されます。万が一、審査期間中に追加書類の提出を求められた場合は指示に従ってください。
韓国デジタルノマドビザの滞在可能期間・延長
初回の滞在可能期間
デジタルノマドビザが承認された場合は、入国日から1年間の韓国滞在が認められます。K-ETAや観光ビザを利用した滞在可能期間は最長90日間でしたが、試験的に導入されたデジタルノマドビザにより長期間滞在が可能となりました。また、入国後に延長手続きを行うことで最長2年間滞在することが可能です。
延長・更新の条件
デジタルノマドビザの滞在期間を延長する場合は、期限満了日までに出入国管理局で手続きを行う必要があります。パスポートの有効期限が切れている場合は延長申請を行えないため、予め確認しておきましょう。また、滞在可能期間を超過した申請は認められず、その際は罰金が科せられるためご注意ください。延長申請にはパスポート、統合申請書、外国人登録証、手数料(6万ウォン)が必要です。申請後は収入条件などの審査が再度行われ、承認されると最長で2年間の韓国滞在が認められます。ただし、2年以上の滞在は原則として認められないため、希望される方は他の韓国ビザの取得をご検討ください。
他ビザへの切り替え
観光ビザ(C-3)を利用して韓国へ渡航される方は申請条件を満たしている場合に限り、デジタルノマドビザに切り替えることができます。切り替えには在留資格変更許可申請書などの必要書類を準備し、出入国管理事務所で手続きが必要です。手続きを行った後は審査が行われ、承認されるとデジタルノマドビザへの切り替えが認められます。ただし、日本でデジタルノマドビザを取得し韓国に渡航する場合は他のビザへの切り替えは許可されません。切り替えを希望される方は一度帰国した後、目的に応じたビザを再度取得する必要があります。
韓国デジタルノマドの納税義務
デジタルノマドビザを利用して韓国へ渡航する場合は、滞在中の期間や収入に応じて所得税や住民税など様々な納税義務が生じます。韓国では日本と同様に毎月納税する必要があり、各種所得控除などは毎年1月に行われる年末調整で反映されます。韓国と日本は二重課税回避のため日韓租税条約を締結しており、同協約は一方または両締約国の居住者である個人、法人が対象です。韓国へ渡航する日本国籍者は所得税、法人税、農漁村特別税、住民税に同協約が適用されます。また、滞在期間が183日以下など一定の条件を満たす方は短期滞在者免税の対象となり、日本の企業から収入を得る際に発生する所得税の免除を受けられます。
韓国の短期滞在者免除が適用される要件は、下記の通りです。
- 韓国での滞在期間が累計183日以内であること
- 日本の企業から収入を得ていること
韓国での滞在期間は入国日から年末までの日数を数え、183日を超えているかで判定されます。年をまたいで滞在する場合は、“入国日から年末まで”と“翌年の1月1日から出国日まで”の滞在日数がそれぞれ183日を超えていなければ免除の対象です。また、短期滞在者免除を受ける場合は、韓国の税務当局に「租税条約に関する届出」を提出する必要があります。届出書については、国税庁の公式ウェブサイトより詳細をご確認のうえダウンロードしてください。
なお、韓国での滞在期間が183日を超えた場合は、入国日から起算した日数分の納税を行う必要があります。確定申告が実施される5月中に税務署または国税庁が運営する電子申告システム「ホームタックス」で納税の手続きを行いましょう。
韓国デジタルノマドの注意点
家族同伴での渡航
韓国デジタルノマドビザでは、配偶者や子供の同伴が認められています。ただし、家族が同伴される場合は家族関係証明書の提出や全員分の生活費、医療保険費用なども必要となるため予め準備しましょう。家族関係証明書の発行は、駐日本国大韓民国大使館や総領事館の窓口または郵送で手続きを行います。手続きには“家族関係登録簿などの証明書交付申請書”、顔写真付きの身分証明書、手数料(1通あたり130円)、戸籍謄本が必要です。また、郵送で申請する場合は申請書、身分証明書のコピー、返信用レターパック、手数料分の定額小為替をレターパックに同封し発送してください。ただし、郵送での手続きは発行までに時間を要するため、駐日本国大韓民国大使館または総領事館の窓口での申請をお勧めします。
韓国国内で就労や営業活動は禁止
韓国のデジタルノマドビザはフリーランスや会社員、個人事業主などが韓国に滞在しながらリモートワークを行い、国外から収入を得て生活するためのビザです。当ビザは通常の就労ビザや観光ビザとは異なり、韓国の経済に寄与することを目的に試験的に導入されました。滞在中の就労は原則として禁止され、韓国国内の企業または個人と契約を結び仕事を受注することやアルバイトなどの営業活動も認められません。万が一滞在中に国内で就労を行った場合は、出入国管理法令に基づき罰則が科されるためご注意ください。韓国で就労を希望される方は駐日本国大韓民国大使館または総領事館で手続きを行い、駐在ビザ(D-7)や短期商用ビザ(C-3-4)など目的に合ったビザを取得しましょう。
外国人登録について
デジタルノマドビザを利用する際は、身分証明書となる外国人登録証の取得が必須です。外国人登録証は銀行口座の開設、携帯電話の契約、公共料金の支払いなど様々な場面で使用できます。登録する際は入国日から90日以内に出入国管理事務所で手続きを行う必要があり、申告が遅れると罰金が科せられるためご注意ください。また、出入国管理事務所への訪問は事前予約制となっているため、渡航前に韓国法務部の公式ウェブサイト「ハイコリア(Hi Korea)」で訪問予約を行いましょう。
手続きには外国人登録申請書、パスポート、6か月以内に撮影した顔写真1枚、手数料(約3万5,000ウォン)が必要です。出入国管理事務所の受付で必要書類を提出し、手数料の支払いなどの手続きが行われます。申請から発行まで約2~3週間かかり、登録証は出入国管理事務所または郵送(郵送料別途)で受け取ることが可能です。
韓国滞在中に失業した場合
デジタルノマドビザは発給から1年間の韓国滞在が認められ、入国後は手続きにより最長2年間滞在することが可能です。ただし、滞在中に失業した場合は原則として滞在期間の延長は認められません。当ビザは海外からの収入を得ながら韓国に滞在することが条件であるため、失業により収入源が途絶えると在留資格を失う可能性があります。また、失業したことで就業状況が変更するため出入国管理事務所への申告が求められます。申告せずに滞在し続けると不法滞在やビザ要件の違反と見なされる場合があるためご注意ください。状況によっては求職ビザ(D-10)などへの変更も認められますが、必ず事前に出入国管理事務所に問い合わせをしましょう。失業期間が長引く場合は、ビザの有効期限満了日までに韓国を出国する必要があります。